ふぁーみんぐ通信06年6月号

                本物の麻スサを使った100%天然素材の壁
                     〜和食チェーン店に採用の巻〜




宮内庁御用達職人が絶賛する本麻スサ入りの左官材  
6月6日に開店した和食レストランチェーン店「かごの屋」千石店(東京・文京区)に採用
日本の究極の伝統美を感じる空間が出現!!

本聚楽土・本麻スサ入りの壁

●スサの役割

お城の城壁や町屋の白壁などの漆喰壁は、昔から石灰、フノリ(海藻の糊)、
麻スサ(麻繊維のくず)を原料とする。これらを練り合わせて、何回も重ね
塗りすることで、日本の気候風土に耐えられる壁になっている。

左官材料(塗り壁材料)におけるスサの用途は壁の補強、亀裂防止、曲げ強度
を向上させ、作業性をよくさせる。塗り壁材料に弾性力を持たせ、鏝(コテ)
伸び、鏝ばなれをよくし、スサによる保水効果もある。関西では「すさ」と呼
び関東では「つた」と呼ばれている。


●本麻スサとは?(本麻スサ=本物の麻すさという意味)

一般的には、土壁には、藁スサが多く使われ、漆喰やプラスター類には麻スサ
が使われている。この麻スサの材料は、かつては、日本麻からできた下駄の鼻緒
の切りくず、地引網、船舶に使った麻のロープを裁断したもの用いたが、最近は
材料入手が困難になったため、海外産のマニラ麻やコーヒー袋に使わるジュート
麻の裁断したもので代用されるようになっている。

本麻スサは、日本で古来から使われてきた「日本麻=ヘンプ」を原料とし、宮内
庁御用達スサ職人の技術とノウハウを生かした新商品となった。天然繊維の中で
もっとも強靭かつしなやかな「日本麻」の特徴を最大限に引き出した最高品質の
壁スサが本麻スサなのである。


●本麻スサの特徴とは?

1)接着力が強い
天然繊維のヘンプは、細かい枝状であり、繊維にルーメンと呼ばれる細長い空洞
があり、他のスサにない表面積の多さが塗り材料の付着効果を高め、乾燥したと
きのひび割れを抑える効果が高い。

2)耐アルカリ性に優れている
ヘンプは、昔から過酷な環境下の船の帆布やローブなどの船具に使われてきました。
強くてしなやかな繊維質をもち、特に漂白した白雪スサは、耐アルカリ性が強く、
石灰と混合しても灰汁が出ない。

3)原点回帰
材料会社、スサ製造者、施工会社が三位一体となって、日本古来の素材の復活させ
たものである。日本の気候風土にあった素材を次世代に受け継ぐ新商品。


●本麻スサの種類

本麻スサに混ぜる壁材(漆喰、土壁、珪藻土壁など)はあらゆるものに対応できる。

1)本麻生浜スサ 
魚網やロープからつくっていた当時の浜スサよりもグレードの高いスサ
になって新登場。

2)本麻白雪スサ 
ヘンプファイバーを食品添加物系の漂白剤で晒し、繊維の長さを調整したスサ

3)本麻紙スサ(玉スサ復刻バージョン)
天然の土を用いて塗った光沢のある壁(例:漆喰磨き、大津磨、パラリ壁)
に使われるスサ。職人の間では玉スサと呼ばれる。


左から生浜スサ、白雪スサ、紙スサ


●既存のスサと何が違うのか?

京都御所や法隆寺を手がけている宮内庁御用達のスサ職人の話によれば、
「本麻スサを使った土壁は、天然糊だけで施工でき、(石膏ボード釘打ち
部分は下地処理が必要)化学合成された壁材と異なり、シックハウス症候群
の原因となるケミカルボンド不要で100%天然素材の内装壁となる」
ということだ。
一般の内装リフォームでも使うことができ、これらの工事のお問い合わせに
ついては、中内建材店に聞くとよい。

 リフォームフェアで紹介しました(7月1、2日)


●かごの屋に採用された土壁・ 聚楽土(じゅらくど)

聚楽土は、京壁とも呼ばれ、もとは京都の聚楽付近で採れる灰褐色の粘土質の土
のことである。日本の伝統的な土壁の原料であり、茶室に使われているような壁
といえばイメージしやすい。耐火性に優れ、年月を経ても変わらずに温かみのあ
る独特の風合いが好まれる。現在、聚楽土は入手困難な貴重品であるため、様々
な産地の土を使う場合が多い。

かごの屋では、この聚楽土に天然糊と麻スサを混ぜて、左官をしている。採用さ
れた千石店すべてではなく、特別室だけであり、この部屋は、かごの屋千石店に
あらかじめ予約を入れないと入れないVIPルームである。

かごの屋千石店
東京都文京区千石1−6−12 03−3940−7705
かごの屋ホームページ
http://www.kinrei.com/r/kagonoya/

本麻スサと聚楽土・土壁セット(※)
中内建材店(宮内庁御用指定業者)TEL 075−441-0949
http://jyuraku-tuchi.com/

※施工会社や設計事務所などの業者向けにもこの左官材は販売しており、
施工マニュアルをはじめ、作業に関するアドバイスや指導できる体制である。
 一般の個人住宅やお店などの施工も対応しているので、この壁で仕上げたい
という方は、中内建材店へご連絡を。

各種麻スサ加工について
(株)北正商店(宮内庁御用指定業者)TEL072−278-0019
http://www.eonet.ne.jp/~kitamasasyoten/

ヘンプファイバー・麻スサ原材料について
(有)ジャパンエコロジープロダクション TEL 03-3445-5285
http://www.jep-japan.com



リフォームフェアでは、オガラを麻チップ化していました(左)。ブースの様子(右)

以上





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